新政権発足早々、参院選の投開票日を巡る綱引きが激化している。郵政改革法案の今国会成立を求める国民新党に配慮して、菅直人首相は国会会期の延長を検討しているが、改選期の参院議員を中心に延長せずに早期の参院選実施を求める声が強まっているからだ。調整に手間取れば菅首相のリーダーシップを疑問視する声も出かねず、首相は政権発足早々、大きな決断を迫られている。
民主党の高嶋良充参院幹事長は8日の記者会見で「所信表明と代表質問の日程から言えば、郵政改革法案を審議するなら会期延長しなければいけない」と指摘した。民主党と国民新党は郵政改革法案について「速やかな成立を期す」とする合意文書を結んでいる。会期を2週間程度延長した場合、参院選投開票日は7月25日となる。
しかし、毎日新聞など各社が週末に行った世論調査で民主党の政党支持率が急速に回復。高い支持率を保ったまま早く選挙戦に入りたいとの要望が参院側から噴き出した。会期通り閉会すると投開票日は7月11日になる。
8日の党役員会では改選を迎える小川敏夫参院議員が「できるだけ延長しないで、このまま参院選に突入してほしい」と求め、枝野幸男幹事長も「そうした意見を踏まえて検討する」と引き取った。改選を迎える参院議員の一人は「郵政改革法案はどうしても今国会で成立させなくてはいけないものではないだろう」と息巻く。
だが、国民新党側には警戒感がある。連立を重視した小沢一郎前幹事長と異なり、新政権の真意を読みかねているからだ。郵政改革法案を提出した当時、仙谷由人官房長官は国家戦略担当相だったが、提出に異論を唱えた。今国会で成立させなければ参院選後、郵政改革の内容自体が変わりかねないとの危機感がある。亀井静香氏は8日、記者団に「(今国会)成立をめざし、徹底して審議する」と強調した。
自民党など野党は、終盤国会の日程を示さない民主党に疑念を深めている。会期通りの閉会では新内閣を追及する「見せ場」を失うためだ。自民、公明、共産、社民、みんな、たちあがれ日本の6党国対委員長は8日、民主党の樽床伸二国対委員長と国会内で会談し、新首相誕生を踏まえ今国会での予算委員会開催を求めた。だが、樽床氏は「(民主党代表選で休会になった)空白期間の代償をどう払うか十分検討させてほしい」と答えるにとどめた。【高山祐、木下訓明】
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